ビーターは原料を細かくほぐす時に使用します。
ビーターにもホーレンダービーターとナギナタビーターの2種類があります。
ホーレンダービーターは主に三椏やガンピ、パルプなど繊維の細かい原料の時に
使用します。
通常、原料を煮る→原料を水に晒しちり取り→タンタンで打解→ビーターでほぐす、
工程になりますが、繊維の短い原料で使用するホーレンダービーターはタンタンで打解せず(繊維が短いので飛び散る為)ビーターでほぐす事ができます。
ナギナタビーターは主に楮のような繊維の長い原料の時に使用し、タンタンで打解した後に使用します。
ホーレンダービーターは簡単に説明すると肉をミンチにするミンサーみたいなもので、
押し切りして繊維を砕きます。
なのでタンタンで打解する必要がありません。
繊維が長い楮をホーレンダービーターで使用すると繊維が変に絡み合い、
俗に紙漉き用語で言うニナイ、ツリ、ボンボンと言われる繊維のかたまりが
できやすくなります。
しかし、繊維の短い三椏などはきれいに繊維がほぐれます。
以前高知でパルプを短時間で軽く解かした物と、長時間解かした物で紙を漉き比べた実験で強度が違う紙がでました。
それは長時間ホーレンダービーターで解かす事によりフィブリル化(繊維一本一本が枝毛のようにささくれて)する事により強い紙になる事を学びました。
それはパルプがナギナタビーターで解かしても(フィブリル化しないので)意味がないのもとわかりました。
ナギナタビーターはこれが
このように高回転で
回ります。
しかしこの鎌の部分は刃のも様に鋭利ではなく手で触っても全く切れません。
解きほぐすミキサーみたいな物です。
三椏、ガンピも時間をかけてナギナタビーターすると解けますがよりきれいに解かす時はタンタンで少し打解してビーターします。
今回はソーダ灰で煮た三椏の原料をタンタンしてビーターです。
きれいに解けました!
紙漉思考室にはナギナタビーターしかありません。
それは初めて紙を漉いた時に、木の皮だけでこんなにきれいな物ができる事に
とても感動し、できれば純粋な繊維で紙を漉きたいと思ったからです。
パルプの為に高価なホーレンダービーターを買う余裕もありません!(笑)
ちなみにこのナギナタビーターは高知で作って頂いたものですが、
その時に信じられないくらい鉄の値段が上がり(中国の建設ラッシュなどのせいで!)
びっくりしたのを憶えています。
作って頂いた鉄工所の方に言われました。
鉄が安い時に作ったら3分の2の値段でできたのに!と・・・。
これがないと仕事ができませんので。