紙を乾燥させる手段としていくつかあります。
一つ目は昔から行われている板に張り付ける板干し乾燥。
二つ目はステンレスの板に蒸気を通して温かくする蒸気乾燥機。
この二つのやり方にはそれぞれ長所、短所があり、紙によって使い分けを行っています。
板干しの場合の長所、ゆっくり乾かすので繊維に負担がかからず、
蒸気乾燥の紙より多少強い!
紙を張った板を外に出すことで太陽の紫外線で白い紙になるなど!
短所は天気に左右される、板が良くないとシミが付く事も、そして
板干しの板そのものがあまりない事
蒸気乾燥機の長所は天気に左右されないので作業効率があがる。
とても厚い紙が乾燥できる。板に張ってダラダラ乾燥するよりシミが出にくいと思う。(天気が良い日の板干し乾燥は問題ないですが)
短所は蒸気の熱で急激に乾燥するので若干板干しより弱くなる(と言ってもそこまで気にならないと思います)。
そして大きな短所は
三椏、特にガンピの紙を乾燥させると品のないテカテカした紙になる
せっかくの品のあるガンピの紙をもったいなくてできません(笑)
板干しの板に使われる素材は銀杏、松、杉など色々あります。
とりわけ上等なのは銀杏の雌で継ぎ目のない一枚板。
いまの時代こんな大きな銀杏はあまりないので、もし新規で作る場合
莫大なお金がかかります。
昔から代々、紙漉きをされている所は大事に大事に使われています。
銀杏は表面がツルツルで木目があまりでないできれいな紙ができます。
かなり重たいので大変ですが・・・。
あと多いのが松板です。軽くていいのですが木目が紙にでやすく、多少ボコボコとなります。
この木目です。
多くの方が紙漉きを辞められる方から、譲っていただいたりします。
私も高知の方から松板、杉板を分けて頂きましたが何しろ年代物で
所々、虫で穴があき、割れたりと
修復不可能でした。
20枚ほどトラックに入れて持ってきましたが・・・。
それから色々と考えましたが納得する方法ができず、少し板干しの板を諦めていました。
しかし知り合いの方に相談してみるとそれに合いそうなシミなどが出にくい良い板があるとの事!!!
どっしりと重く、まるで銀杏並です。木目も出にくいです。
すぐにサンプルを作って頂きました。それから三年、全く問題がなく、
むしろ古い板より使いやすいとても良い板が出来ました!
そして、この前まとめて注文していた板が届きました。
これでまたいろんな紙を作る事ができます。
ガンピ、三椏、ワクワクです!
でも先ずはやっぱりエースの楮から(笑)
ただ今、丁寧にへぐった土佐楮を石灰で煮た大好きな紙を今作っています。
この紙を使って頂きたい所があるのです。
気に入ってくれると良いですが!