今年最後の紙漉きで使用する楮のちり取りをしております。
ちり取りとは原料に付いている異物や、成長の過程で
キズができ堅くなった繊維を一つ一つ手で取る作業です。
とても地味な作業ですが、白いきれいな紙を漉くに欠かせない作業です。
しかし、同じ白い和紙でも原料処理のやり方でちり取りの時間が
全く違います。
PHが高い苛性ソーダで煮て、塩素漂白で白くした原料だと
一日に40キロぐらい、ちり取りできます。
それは、苛性ソーダによって異物や黒皮を溶かし、
塩素漂白で白くする事によりちり取りの時間がかからない為です。
一方、ソーダ灰や石灰で煮た時はPHが苛性ソーダみたいに高くないので異物やへぐりで残った黒皮は解けません。
なので、一日中ちり取りしても2~3キロ(原料の質によります)
しかできません。
勿論、塩素漂白やらないので、丁寧にちり取りをしてあげると
真っ白ではなくオフホワイトの繊維がキラキラしたきれいな紙ができます。
残念ながらあまり和紙を扱う機会のない方は、上の二つの紙を
ならべて見てもさほど違いがわからないと思います。
しかし見た目では分かりませんが、苛性ソーダ、塩素漂白で
繊維はボロボロで丁寧にソーダ灰、石灰で煮て作った紙より
だいぶ弱い紙になります。
シミなどもでやすいです。
紙漉思考室の白い紙はオフホワイトです。
ちり取りはこんな感じでやってます。
繊維に付いている異物を取ります。
キラキラきれいです。
冬になると気温より地下水が温かい為水がぬるく感じます。
しかし水を流しながら作業をしないと一気に気温で水温が下がり
手を入れる事さえ・・・。
しかし冬は紙漉きのベストシーズンなのです。
ネリや湿度などの関係でパリッとした良い紙ができます。
そう言えば、今年はほとんど収穫ができないと思いますが、畑も冬です。
一月には楮刈りです。
今から楽しみです!!